初期のパソコン向けアダルトゲームでは、ゲーム部分とエロい場面がかなり分かれていました。
ジャンケンに勝つ。
パズルを解く。
正しいコマンドを選ぶ。
すると、ご褒美として女性の一枚絵が表示されます。
でも1980年代末になると、アダルトゲームへRPGの仕組みが本格的に入ってきました。
ダンジョンを歩く。
敵と戦う。
経験値を稼ぐ。
装備を整える。
レベルを上げる。
そして、冒険の途中やその先に、女性キャラクターとのイベントが用意される。
プレイヤーは一枚絵を見る前に、普通にゲームを攻略しなければならなくなったのです。
RPGとエロは、意外と相性がよかった
RPGには、もともと「先へ進めば何かが待っている」という仕組みがあります。
塔の上には何があるのか。
次の町では誰に会えるのか。
ボスを倒した先で、どんな物語が始まるのか。
そこへアダルト要素を加えれば、先へ進みたい理由が一つ増えます。
物語の続きも気になる。
新しい敵とも戦いたい。
次の女性キャラクターも見たい。
エロ目的で始めたはずなのに、途中から装備やレベル上げへ夢中になる。
強い敵に勝てないので、少し経験値を稼ぐ。
金が足りないので、同じ場所を何度も往復する。
気づけば、その日はエロい場面までたどり着かず、レベル上げだけで終わっている。
完全にRPGです。
でも、その遠回りがあるからこそ、先へ進んだときの達成感も大きくなりました。
女性モンスターが待っていた『カオスエンジェルズ』
1988年にアスキーから発売された『カオスエンジェルズ』は、3Dダンジョン型のRPGです。
プレイヤーは「ウロボロスの塔」を探索し、一人称視点で通路や扉を調べながら上を目指します。
見た目は、当時の本格的なダンジョンRPGです。
ただし、塔の中に登場する敵は女性キャラクターが中心。
戦闘後には相手とのイベントがあり、敵の能力を手に入れるような仕組みも用意されていました。
つまり、エロい場面が単なるオマケではなく、戦闘や成長にも関わっていたわけです。
もちろん、女性キャラクターを見たいからといって簡単には進めません。
塔では普通に迷う。
敵も出る。
体力も減る。
今いる階すら分からなくなる。
軽いお色気ゲームのつもりで始めたら、薄暗いダンジョンで本気の迷子になる。
ただ、普通のRPGなら「また敵か」と思うところを、『カオスエンジェルズ』では「次はどんな相手だろう」と思える。
敵との遭遇そのものが、ゲームを進める楽しみになっていました。
主人公の欲望が物語を動かす『Rance』
1989年には、アリスソフトから『Rance-光をもとめて-』が登場します。
主人公のランスは、正義感にあふれた勇者ではありません。
腕は立つ。
でも自分勝手。
行動の理由もかなり不純。
困っている人を助けることがあっても、世界平和より女性への興味が先にあります。
それまでのアダルトゲームでは、普通の主人公がゲームを攻略した結果、エロいご褒美を受け取る形が多くありました。
ランスの場合は、主人公自身の欲望が物語を動かします。
依頼を受ける。
町を調べる。
敵と戦う。
事件を解決する。
ただし本人は、立派な使命感で動いているわけではない。
エロが物語の最後に置かれた報酬ではなく、主人公を動かすエンジンになったのです。
第1作はコマンド選択式のアドベンチャーに、冒険や戦闘を組み合わせた作品でした。
その後、シリーズは同じ世界や登場人物を引き継ぎながら長く続きます。
国や歴史、戦争、仲間や敵の人生まで描かれるようになり、アダルトゲームとしては異例の大きな世界を作っていきました。
ダンジョン攻略を前面に出した『ドラゴンナイト』
同じ1989年には、エルフから『ドラゴンナイト』も登場します。
こちらも、一人称視点でダンジョンを進むRPGです。
敵と戦いながら塔を攻略し、捕らえられた女性たちを助けていくという、ファンタジーRPGらしい設定でした。
エロい場面だけを順番に見る作品ではありません。
道を覚える。
敵を倒す。
強くなる。
先の階へ進む。
その過程を、ちゃんとRPGとして遊ばせます。
最初は女性キャラクター目当てでも、途中から、
「次の階段はどこだ」
「回復は足りるか」
「この敵、ちょっと強くないか」
と、普通に攻略へ頭を使うようになります。
野球拳なら、ジャンケンに数回勝てば一枚絵を見られました。
アダルトRPGでは、その一枚を見るまでに塔を何階も登らされる。
ご褒美までの距離はかなり伸びましたが、その分だけゲームとしての達成感も大きくなりました。
エロゲーが「最後まで遊ぶゲーム」になった
脱衣ゲームの時代は、ご褒美の絵を見た瞬間がゴールでした。
RPGになると、エロい場面を見てもゲームは続きます。
その先に新しい敵、新しい町、新しい装備、物語の続きが待っています。
エロを見るために始めたのに、ゲームが面白いから最後まで遊ぶ。
遊んでいるうちに、キャラクターや世界にも愛着が湧いてくる。
1980年代末、アダルトゲームはRPGと出会ったことで、一枚絵を見るためのソフトから、エロも含めて一本のゲームとして楽しむ作品へ変わっていきました。
ただし、RPGの中では女性との関係が、まだ冒険を進めた先のイベントに近い部分もあります。
1990年代になると、その女性との関係そのものをゲームにした作品が登場します。
今度はモンスターではなく、恋愛を攻略する時代です。
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